岩内の深層水は沖合約8キロ、水深約300メートルからくみ上げ、ミネラル分に富み、水産業や食品加工業、化粧品製造業など多様な分野で活用されている。
同校の取り組みは、地場産業への理解を深める授業の一環。使う深層水は、町地場産業サポートセンターが取水し塩分を取り除いた製品「高ミネラル水」を無償提供してもらっている。生徒たちは学校の正面玄関前と校舎裏の畑に6月初旬から順次ジャガイモとミニトマト、カボチャを植え、週3回、授業前に水やりや草取りをしている。
同センターによると、深層水の農業利用の効果については農家から「食味が良くなる」との声もあるが、はっきりしていない。
これまでの同校の実験では、深層水を与えている方が生育が早く、ミニトマトは既に、与えていないものより5センチほど茎が高くなった。
2年2組の小松史弥(ひろや)君(13)は、「こんなにすぐ差が出るとは思わなかった。やはり深層水にはいい効果があるのでは」と期待。同じクラスの高橋真斗(まなと)君(14)は「最後までしっかり比較したい」と意気込む。
収穫はジャガイモとカボチャが8月末から9月始めごろ、ミニトマトが7月中旬ごろ。担当の中西知典(とものり)教諭(49)は「結果が見えない実験は、小中学校では珍しい。自分もわくわくしている」。同センターの釜谷豊和所長(48)も「実験に協力し、深層水の効能を明らかにすることができれば」と楽しみにしている。(角田悠馬)