シンポジウムには沖縄、ハワイ、日本の経済産業省、米国のエネルギー省の政策担当者や研究者が登壇した。地理的条件など多くの共通点がある両地域の事例を踏まえつつ、海洋温度差発電や洋上風力発電など再生可能エネルギーの「ベストミックス」による、化石燃料からの脱却や持続可能な社会システムの構築について議論した。
海洋温度差発電は、海洋表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組みで、太陽光や風力発電と違い、電力系統に負担を掛けず、24時間安定的に電力を調達できる利点がある。米国やフランスでは国を挙げて研究開発が進められている。一方で、冷水をくみ上げる取水管の設置費用など初期投資のコスト高が課題となっている。
久米島町と連携協定を結ぶ佐賀大学海洋エネルギー研究センターの池上康之教授は「出力100キロワット規模では経済的に成り立たない。発電設備の大型化によるスケールメリットでコストは十分に下げることができる」と指摘した上で「最低1メガワット(千キロワット)の発電設備が実現すれば、OTECが抱える課題は解決できる。新たな熱交換機の開発や海洋土木技術の発展など技術革新は既に実現している」と指摘した。
琉大工学部の瀬名波出准教授は、発電に使用した海洋深層水をクルマエビや海ブドウの養殖に再利用するなど深層水活用による循環型社会の構築を提言。「久米島は世界の島嶼地域に貢献できる可能性を秘めている。久米島型のビジネスモデルを展開できる地域は世界中にある」と強調した。