神奈川県横須賀市追浜(おっぱま)町の京急線追浜駅前に延びるアーケード。その一角に日本で初めて商店会がワイン醸造免許を取得して運営する醸造所「追浜こみゅに亭&ワイナリー」がある。関東学院大学の学生のアイデアで生まれた拠点だ。「仕込みをして2カ月半で瓶詰めし、常にヌーボーでフレッシュ。初心者の方におすすめです」と追浜商盛会代表理事、織田俊美さん(60)は語る。
追浜は戦前、海軍航空隊と飛行場などが置かれた海軍の街。戦後、米軍から段階的に返還され、1961年に日産自動車追浜工場が操業開始、住友重機械工業も71年に進出し、基幹産業の城下町として栄えた。だが、オイルショックや造船不況、2000年以降も日産の段階的なリストラが影を落とし、加えて大型店進出が商店街の衰退に拍車をかけた。
追浜は戦前、海軍航空隊と飛行場などが置かれた海軍の街。戦後、米軍から段階的に返還され、1961年に日産自動車追浜工場が操業開始、住友重機械工業も71年に進出し、基幹産業の城下町として栄えた。だが、オイルショックや造船不況、2000年以降も日産の段階的なリストラが影を落とし、加えて大型店進出が商店街の衰退に拍車をかけた。
追浜こみゅに亭&ワイナリーで醸造・販売している「横須賀おっぱまワイン」の赤(左)と白
当時、駅前商店街の空き店舗で「まちなか研究室」を運営していた昌子(しょうじ)住江・関東学院大教授(現NPO法人「アクションおっぱま」理事長)のゼミ生が、海洋深層水を利用したワイン醸造を提案。99年の酒税法改正で果実酒製造免許の要件が緩和されたことと、追浜地区に本部を置く海洋研究開発機構(JAMSTEC)が深層水の研究で世界的に知られていたことを結びつけたアイデアだった。
空き店舗にワイナリーを設け、商盛会や地元住民、NPO法人有志の素人による試行錯誤が始まった。岡山、山梨、三重各県のワイナリーを視察し、免許取得に8カ月かかった。勉強会を重ね、ようやく納得がいく濃い中口ワインが出来上がった。販売免許、卸免許も取得し、05年5月、発売を始めた。
国産ぶどう100%で作るいわゆる「日本ワイン」ではなく、輸入濃縮果汁に水を混ぜて発酵させる「国産ワイン」だ。「通の方には物足りないでしょう。造るたびに味も変わる。でもそれを楽しんでもらいたい。2〜3年寝かせると、とてもまろやかになります」と織田さん。使用していた深層水が発売4年で取水中止になり、現在は横須賀市走水の湧き水と豪州産ぶどうの濃縮果汁を使っている。
空き店舗にワイナリーを設け、商盛会や地元住民、NPO法人有志の素人による試行錯誤が始まった。岡山、山梨、三重各県のワイナリーを視察し、免許取得に8カ月かかった。勉強会を重ね、ようやく納得がいく濃い中口ワインが出来上がった。販売免許、卸免許も取得し、05年5月、発売を始めた。
国産ぶどう100%で作るいわゆる「日本ワイン」ではなく、輸入濃縮果汁に水を混ぜて発酵させる「国産ワイン」だ。「通の方には物足りないでしょう。造るたびに味も変わる。でもそれを楽しんでもらいたい。2〜3年寝かせると、とてもまろやかになります」と織田さん。使用していた深層水が発売4年で取水中止になり、現在は横須賀市走水の湧き水と豪州産ぶどうの濃縮果汁を使っている。
街の活性化をかけて丹精込めたワイン醸造に取り組む追浜商盛会代表理事、織田俊美さん
仕込みは年4回。醸造樽(だる)に濃縮果汁、水、酵母を入れてかき混ぜて1週間から10日ぐらいで発酵させる。品温と室温、発酵状態、糖度を毎日チェックして保ち、約1カ月寝かせてから瓶詰めする。「追浜にとってワインは活性化のカギ。昨年ワインケーキを発売したところ好評で、今後はワインを使ったカレー、ゼリー、ムースの開発も検討しています」と意気込む。【田中義宏】
赤は濃い中口、白はさらりと 現在は「カベルネ・ソービニヨン」を使った赤と「シャルドネ」を使った白の2種。1回の仕込みで約1000本を醸造し、赤、白を交互に計年4回仕込む。ワイナリー内の室温が保たれた倉庫で管理。それぞれ半年ほどで完売する。赤は濃い中口で、肉料理に合う。白はさらっとした味わい。各1300円。
ネットショップのほか、「追浜こみゅに亭&ワイナリー」や追浜地区の酒販店、飲食店(12店)、京急横須賀中央駅前の「YYポート横須賀」、地場産物総合販売所「よこすかポートマーケット」などで販売。問い合わせはこみゅに亭&ワイナリー(046・865・2625)へ。
ネットショップのほか、「追浜こみゅに亭&ワイナリー」や追浜地区の酒販店、飲食店(12店)、京急横須賀中央駅前の「YYポート横須賀」、地場産物総合販売所「よこすかポートマーケット」などで販売。問い合わせはこみゅに亭&ワイナリー(046・865・2625)へ。
資料來源:每日新聞