追浜は戦前、海軍航空隊と飛行場などが置かれた海軍の街。戦後、米軍から段階的に返還され、1961年に日産自動車追浜工場が操業開始、住友重機械工業も71年に進出し、基幹産業の城下町として栄えた。だが、オイルショックや造船不況、2000年以降も日産の段階的なリストラが影を落とし、加えて大型店進出が商店街の衰退に拍車をかけた。
空き店舗にワイナリーを設け、商盛会や地元住民、NPO法人有志の素人による試行錯誤が始まった。岡山、山梨、三重各県のワイナリーを視察し、免許取得に8カ月かかった。勉強会を重ね、ようやく納得がいく濃い中口ワインが出来上がった。販売免許、卸免許も取得し、05年5月、発売を始めた。
国産ぶどう100%で作るいわゆる「日本ワイン」ではなく、輸入濃縮果汁に水を混ぜて発酵させる「国産ワイン」だ。「通の方には物足りないでしょう。造るたびに味も変わる。でもそれを楽しんでもらいたい。2〜3年寝かせると、とてもまろやかになります」と織田さん。使用していた深層水が発売4年で取水中止になり、現在は横須賀市走水の湧き水と豪州産ぶどうの濃縮果汁を使っている。
ネットショップのほか、「追浜こみゅに亭&ワイナリー」や追浜地区の酒販店、飲食店(12店)、京急横須賀中央駅前の「YYポート横須賀」、地場産物総合販売所「よこすかポートマーケット」などで販売。問い合わせはこみゅに亭&ワイナリー(046・865・2625)へ。